助産師&ずぼらかあちゃん☆azusan☆の気まぐれ日記

高校球児と思春期真っただ中の中学生女子の子育てから学ぶこと、気持ちが楽になるちょっとしたコツなどの子育て関連。野球関連。助産師の資格を生かした妊娠・出産・育児や、資格取得に関することなど、気まぐれに情報発信するブログです。

“安産のハーブティ=ラズベリーリーフ” ~妊娠後期の過剰摂取のリスクをご存知ですか?~

今回は、初めて助産師っぽい記事をあげてみようかと思います(=゚ω゚)ノ

 

個人病院やフリーで活動している助産師は、どちらかというと自然派的なことが好きな人が多い気がします(*‘ω‘ *)

 

私自身もアロマセラピーやハーブ、マタニティヨーガとか、自然や自然治癒力てきな考え方も大好きです。

かといって、それだけに偏ってる場合や、エビデンスなく、経験値だけに偏りすぎた考えを妊婦さんに伝えている、ごくごく一部の助産師活動をしている方へは、疑問をもっています。

自然(自然療法や自然分娩)は好きだし、魅力的なものだとは思いますが、近年の自然災害からもわかるように、自然は想定しない脅威を人々にあたえたり、どうしようもない偉大な力であり、必ずしも人間の都合のいいようには働かないのが自然だとおもっています。

自然の中で生きるということは、危険も隣り合わせている事、それなりの覚悟や準備が必要であることは、常に意識していたいことです。 

 

ハーバルセラピストの勉強をしていたころ、

“安産のためのお茶=ラズベリーリーフティ”

というのは、定番中の定番として教わります。

 

マタニティ商品のハーブティにも、ほとんど入ってますね(´▽`*)

 

 

 ラズベリーリーフとは?

 

ポリフェノール(フラボノイド)を多く含むことで知られている、ラズベリーリーフは、ユーラシア大陸から北米にかけて生育し、古くから食料として、またメディカルハーブとして多くの人々に役立てられてきたハーブです。

 

漢方薬もそうですが、西洋ハーブも長年にわたる使用経験から、問題のあるものは淘汰されてきており、現在出回っているものは安全と考えられていますが、特に妊婦に対する安全性については、明確な証拠があるわけではありあません。

 

むしろ、近年では、ポリフェノール高含有食品を妊婦がとることにより、胎児の動脈管早期収縮が発症するとの報告が増え始めてます!!

 

ラズベリーリーフの出産に役立つ働きは、子宮や骨盤の周囲の筋肉を調整するためと言われており、月経痛や月経前症候群(PMS)の緩和にも用いられてます。

ノンカフェイン、ノンシュガーという良さもあり、妊婦さん自身や助産師やハーバリストに人気のハーブです。

 

当時の講師からは、ハーブティーとしていただいても飲みやすい味で、メディカルハーブ安全ハンドブックでも、クラス1で安全であるから、妊婦さんはじめ、女性全般のためのハーブとして教えられ、私も自分でブレンドするハーブティにもよく入れていました。(最近はそんな洒落たティータイムなんてしてないけど・・💦)

 

※『メディカルハーブ安全性ハンドブック』とは・・・

米国ハーブ製品協会(AHPA)が編集したハーブの安全性に関するデータ集。毒物学・薬理学・臨床研修・症例報告などに基づいておよそ600種のハーブを相対的な安全性や潜在的な毒性の程度によって、クラス1(適切に使用する場合、安全に摂取することができるハーブ)から、クラス4(クラス分類のための十分なデータが入手できないハーブ)の4段階に分類して掲載している。

 

 ただ、ここで注意していただきたいのが、クラス1でも、“適切に使用する場合”との前提があることを忘れないでいただきたいのです。

 

私が参考にしている『メディカルハーブの事典』では、服用法として、“本品ティースプーン山盛り2杯(約1.5g)に熱湯150㎖をそぞぎ、蓋をして5分間抽出したものを1日3回服用”するとあります。

 

マタニティ対象に販売されている商品で、ラズベリーリーフに期待される効果としてうたわれていることを調べたので、例として挙げてみます。

  • 骨盤底筋群に有用に働き、分娩時間が短くなる。
  • 陣痛を助ける働きがある。
  • リラックス効果がある。
  • 母乳の出がよくなる。
  • 妊娠8か月から引用する。
  • おなかの張りが強い時は避ける。

 

とありました。

私自身が出産した産院でも、陣痛で入院すると、ラズベリーリーフティのお茶がティーポットで出されて、陣痛の合間に飲むようにと言われました。

分娩第一期に、こまめに水分をとるのは大切ですし、常温~温かめくらいのお茶だったので体も冷えません。リラックスもでき、また、力水(ちからみず)的な感じで、陣痛を乗り切る助けにもなり、それをきっかけにハーブが好きになりました。

 

なので、きっかけとなった大好きなハーブだからこそ、ちゃんと注意べきことも知っていてほしなって思います。

 

 

ポリフェノールと動脈管早期閉鎖症(PCDA)の関係

 

では、『“ラズベリーリーフティ=ポリフェノール含有食品” を、妊娠後期に たくさん摂取することが、なぜ注意する必要があるのか?』についてお伝えします。

 

といっても、私は医師ではありませんし、診断や胎児疾患・新生児疾患について特別詳しいというわけでもありません。

周産期の、主に妊娠・分娩期に携わっている産科助産師の立場から、学んだことや経験に基づいてお伝えします。

 

まず、胎児(おなかの中の赤ちゃん)の心臓は、卵円孔動脈管という穴が開いていることが、特徴です。おなかの中の赤ちゃんはママから胎盤を通じて酸素と二酸化炭素、栄養と老廃物の交換しています。これを胎児循環といいます。その胎児循環を保つために、卵円孔も動脈管も大切なものです。

生まれて、肺で呼吸するようになったらこの穴は閉じます。

 

ここでは、心疾患のお勉強ではないので詳しいことは省略しますね。ただ、胎児循環の特徴となる動脈管が、生まれる前から閉じ始めたらどうなる???くらいで考えていただければと思います。

 

よくないだろうな~と想像がつきますよね('◇')ゞ

その程度で十分です!!

 

動脈管早期収縮は、動脈管が完全に閉鎖もしくは狭窄を起こす病態ですが、原因不明の機序や、薬剤性としては非ステロイド系抗炎症剤などのCOX阻害剤(例えばインドメタシン、ロキソニン、ボルタレン、バファリンとかです)や抗うつ剤(SSRI)(レクサプロ錠やパキシル錠とかです)が影響しておこすといわれています。なので、だいぶん前は、腰が痛いと言えばすぐに処方されてた、湿布薬も、近年では処方するお医者さんはいなくなりましたよね!!痛み止めを出しても、一番安全なカロナールです。

 

動脈管収縮の制御因子に対する感受性は、妊娠週数が進むと増し、妊娠31-32週以降にPCDAの発症率が急激に増加することがわかっていますので、妊娠後期は薬剤での催奇形性のリスクはなくとも、やはり注意が必要です。

 

だから、ラズベリーリーフがどう関係するの?ってとこですよね。。。

実は、ポリフェノールに含まれるフラボノイドがPCDAを引き起こすメカニズム(ラット実験)や、ポリフェノール過剰摂取が原因と考えられたPCDA症例報告がちょいちょい出てるんです。

 

ラット実験は2001年には日本農芸化学会で発表されています。私がハーバルセラピストのコースを勉強しにスクール入ったのは2009年、そのあとハーブのセミナーにもちょこちょこ参加していたのに、全然知らなかったです!!!

 

それが怖いなあって・・・・。

今はもう、ハーブ系の協会では注意喚起されているんだろうなとは思いますが、私みたいにハーブの知識が数年前でとまってる人もいると思います。

ラズベリーリーフ=安産のお茶として、産後の母乳のためのお茶として、しかも、妊娠後期からの飲用を推奨してるセラピストとか助産師は、特に妊娠後期には過剰摂取をしないように伝えていきたいですね(=゚ω゚)ノ

 

重ね重ね・・・、誤解されたくないのですが、私は漢方もハーブも好きです!ただ、妊婦さんにはそういった情報をも知ったうえで、用量用法を守っていただくようにしてほしいだけです(*‘ω‘ *)

 

妊娠36週以降は、毎週の妊婦健診になり、ほとんどの施設が、エコー&ドプラーで胎児の循環動態はチェックしてくれてますし、NST(胎児心拍数モニター)で赤ちゃんの元気さを評価します。

その健診のエコーでPCDAが疑われ個人病院からNICUのある病院へ紹介受診、NSTモニターで胎児機能不全(簡単に言うと、あかちゃんがおなかの中できつくなった状態)の診断となり、緊急帝王切開になった一例を身近に経験したことがあります。赤ちゃんは、PCDAに続発して新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)も引き起こしていました。ちゃんとした診断、適切な治療が行われたため、元気に退院されました。

PCDAとPPHNにより、急な胎児死亡や新生児仮死の原因となるともいわれているので、本当によかったです!!!

 

 

ポリフェノール・・・妊娠中はどう気をつけたらいい??

 

何やかや難しい単語も出してしまいましたが、結局はこれですよね~(=゚ω゚)ノ

ポリフェノールに含まれるフラボノイドがPCDAに関与すると考えられてますが、そのフラボノイド、私の大好きな大豆系にもたっぷり入ってます。チョコレートやココアの含有量もなかなかのものです💦

避けるのは無理。というか、有用な成分でもあるので、必要量はいただきたい!

 

『ポリフェノール含有食品の商品テスト結果』というのが独立行政法人国民生活センターから発表されています。食品100g当たりの含有量の参考になると思いますので、興味のある方は調べてみて下さい。

 

ちなみに、日本人女性のポリフェノール平均摂取量は800㎎といわれているそうです。(諸説あり)

 

どれくらいの量くらいからが、PCDAにつながるような過剰摂取量になるか、まだはっきりとした論文などはでていませんが、このポリフェノールとPCDAの関連のことを教えてくれた、知り合いの産科医に質問したところ、1000㎎を超えると関係しやすいという報告はあるそうです。

1日や2日超えたからって、即発症するとか、過剰摂取を続けたら必ず発症するとかではないだろうし、関連が発表されてる時点でその実験は、動物でも倫理上むずかしいだろうねと言われました。

 

要は、嗜好品としてポリフェノールを頂くときは、用量を守ること、一つの食品ばかりを偏って多量に摂取しない!ということが大切であって、食事などであえて避ける必要はないということです。

 

ひとつ、私的に疑問に思ったのが、

ポリフェノール含有量と、吸収率は違うのでは???と思ったんです。

サプリメントとは違って、自然食材やハーブティーは、ポリフェノール以外にもたくさんの成分を含みます。相乗効果にもなるし、不要な分は排泄を促す助けをしてくれたりします。

 

なので、前述したポリフェノール含有量の表でなく、吸収率の表はないものかと思い聞いたり調べたりしましたが、結局まだわかってません。ドクターに聞いてみたけど、先生もその資料は知らないと…。

 

 

また、今回の記事内容はあくまでも後期の妊婦さん対象とした注意喚起です・・・

更年期直前の私は、積極的にポリフェノール(フラボノイド)はいただいていきたいと思いま~す(=゚ω゚)ノ

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

お近くに妊婦さんがいたら、あくまで怖がらせるのでなく!、良かれと思って過剰摂取してそうだったら、ちらりと耳に入れてあげてほしいなと思います。

 

では、ではまた☆彡