10月に入っても台風に悩まされている日本列島ですが、インフルエンザもそろそろ流行り始めてきました💦
高校受験生の息子がいる我が家では、インフルエンザワクチンを打つか、打つとしたらいつ打つか悩んでしまいます。
1歳ごろにたまたま受けた検査で卵白アレルギーで強陽性が出た息子さん。
そのあと、アレルギー科に通いながら今では生卵も全然食べるようになっていますが、5-6歳のころにインフルエンザワクチンを打って、肘が曲がらないくらい腫れてから、なんとなくワクチンを避けてしまっているのですが、3-4年に一度くらいインフルエンザにかかってしまいます。
だから、受験生の今年は予防接種を打ったほうがいいのか、
いつも通り打たないほうがいいのか・・・。
まあ、それは置いといて(*^-^*)
医療現場で働く私は、一応毎年予防接種を受けています。
ちなみに私もソフトボールくらい、赤く腫れあがりますが💦
今年も予防接種を受けようとしたら・・・。
問診表とは別にもう一枚プリントが。
何かと思ったら、
『インフルエンザ予防接種の摂取時間帯による効果の差の研究』
への参加協力のプリントでした。
え~💦初耳~~💦と同僚と話していたら、なんかその話聞いたことあるってスタッフもいたので、ちょっと調べてみました。
〚本日のINDEX〛
ワクチンの効果を高めることができる時間帯があるらしい!!
どうやら2016年10月、米化学誌『The Journal of Experimental Medicine』に、大阪大学のチームがマウスの実験からまとめて発表した研究が、ワクチンの効果を高めることができる時間帯の可能性を示したようです。
そもそも『ワクチン』とは何か・・・
☞人は感染症にかかると体の中で抗体などが作られ、新たに外から侵入する病原体を攻撃するしくみ=“免疫”があります。
ワクチンを接種することにより、あらかじめウイルスや病原体に対する免疫(抵抗力)を作り出すことで、その病気になりにくくしたり、かかっても症状が軽くすんだり、周りの人に移しにくくしたりします。
☞つまり、ワクチンによって作りだされる抗体の量が、多いか少ないかでワクチンの効果が高いか低いかに関係すると考えることができます。
抗体の量を多くする方法が分かればワクチンの効果を高めることができる!という視点から、大阪大学の研究チームはマウスの実験から、抗体をつくる免疫反応が強く起こる時間帯を突き止めた!!と発表されています。
結果から言うと・・・
交感神経と免疫活動の仕組みの研究より、
ワクチンの効果を高めるには、午前中の接種が良い!という結論だそうです。
研究チームリーダーの鈴木一博特任准教授は、発表資料の中で「昼間に活動する人間の場合は、交感神経の働きが最も高まるのは午前中。だから、午前中にワクチンを接種すると、最もよく後退が作られ、効果が得られやすくなる可能性が高い」とコメントされています。
その研究の説明は、JCASTニュース(2016/11/23)のネット記事に載っていて、わかりやすく記載されていました。
また、英バーミンガム大学のチームも専門誌「Vaccine(ワクチン)」2016年5月号に、65歳以上の高齢者を被験者とした研究結果を発表しています。
一般に高齢者は、インフルエンザワクチンの効果が若い世代の人より出にくく、いざ罹患してしまうと肺炎などの重篤な症状を引き起こしやすいといわれています。
この英バーミンガム大学チームの研究で、65歳以上の高齢者は午前のほうが午後よりはるかに多くの抗体ができることを発表しているようです。
もともと、小児科では、ワクチン接種は午前中に行われることが多いですよね。
その時は、午前中に接種する理由として、もし何かしらの副反応が起きた時にも午後の診療時間で診察してもらえるからと説明を受けたことがあります。
目的とは違いましたが、午前中に予防接種を受けていたことは、知らないうちに効果的な時間帯に予防接種を受けていたんだな~と、得した気持ちになりました。
幼稚園や学校に通う子どもや、仕事をしている人は、どうしても午後からとか夕方とかにしか病院に行けなかったりします。
でも、どうせ同じ金額を出してワクチンを打つのなら、抗体がたくさんできる可能性がある午前中に予防接種を受けれたほうがお得感あるし、どこかで日程調整して予防接種につれていこうと思います。
そして、私は、夜勤明けとかでなく、生活リズムが整いやすい日勤が続いてる時の午前中に予防接種を受けようと思います!!
ワクチンの有効期間とおすすめ接種時期
☆13歳以上で1回接種を受ける場合☆
通常成人では、1回の接種で2週間後から血中の抗体の量が増え始め、4週でピークに達し、3~5か月後から低下するとされています。
ただ、ウイルスが体内に侵入すると免疫系が反応して抗体の量はまた増えるため、和久臨の効果はもっと長く続く可能性もあるとされています。
インフルエンザワクチンは、早く打ちすぎると効果が切れてしまうと思いがちですが、10月にしてもう流行しはじめてるので、早めにワクチン接種したほうがよさそうですね!!
毎年毎年、12月ごろにはワクチンの在庫切れになり、年明けてから再入荷するクリニックが多いように感じます。また、在庫を出したくないクリニックは、再入荷をしないところもあるようなので、在庫切れになる前に早め(10月~11月)の接種をしたいものです!!
☆13歳未満で2回接種を受ける場合☆
乳児~13歳未満の方は、1回では抗体が付かない場合があるので2回の接種が必要です。
1回目の後は、2~4週間あけて2回目の予防接種を受けるため、インフルエンザが流行りだす前の接種が勧められています。
妊婦さんのインフルエンザ予防接種
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンで、妊娠全期間(初期~後期)に接種しても、母体および胎児への危険は極めて低いとされています。
むしろ、妊婦さんは免疫力が低下しているため、インフルエンザに罹患すると重篤な合併症をおこしやすいため、インフルエンザの重症化予防にワクチン接種が有効とされています。(※注:接種可能かどうかは医師が判断するため、助産師の立場からは妊婦さんのワクチン接種は有効です、という表現にしています)
=妊婦さんへインフルエンザワクチンが推奨される理由=
*妊婦さんが、インフルエンザ流行中に心肺機能が悪化し入院する相対的リスクは産後と比較して・・・
妊娠14~20週で1.4倍/妊娠27週~31週で2.6倍/妊娠37週~42週で4.7倍
であり、妊娠週数とともに増加することがわかっています。
*また、妊婦さんがインフルエンザに感染すると、自然流産・早産・低出征体重児・不当軽量児・胎児死亡が増加するともわかっています。
*妊婦さんにインフルエンザワクチンを接種することにより、生後6か月まで児のインフルエンザ罹患率を減少させるともいわれています。(生後6か月未満の乳児にはインフルエンザワクチンの接種は認められていないため、妊娠中のワクチン接種はママとベビーちゃん双方に利益をもたらす可能性があるということです)
=早い時期に予防接種をお勧めするもう一つの理由!!=
日本のインフルエンザワクチンには、防腐剤としてエチル水銀を含有している製剤と含有していない製剤があります。
エチル水銀を含有していないワクチンは製剤入手に時間がかかるため、在庫切れのあと再入荷するワクチンはエチル水銀含有のワクチンのことの方が多いように思います。
以前、産科クリニックで勤務していたころ、エチル水銀含有していないワクチンは妊婦さんへ優先的に接種し、職員や妊娠していない女性へはエチル水銀含有のワクチンを接種していました。
ただ、エチル水銀を含有するといっても極少量で、胎児への影響はないとされていますし、懸念されていた自閉症との関連も今は否定されているので、エチル水銀含有のワクチンを妊婦さんへ投与しても差し支えないとされています。
つまり、もしもエチル水銀含有のワクチンしかなかったとしても、インフルエンザ流行時は含有の有無にかかわらずワクチン接種したほうが利点は多いことがわかります。
それでも気になる方は、10-11月の早めのワクチン接種をおすすめします☆彡
授乳婦さんのインフルエンザ予防接種
授乳中にインフルエンザワクチンの接種をしても母乳の安全性に影響は与えないとされています。母乳はワクチン接種に悪影響を与えないため、禁忌にはなりません。
ただ、母乳を介してワクチンの利点があかちゃんにおすそ分けされるわけではないので、あかちゃん双方への利益を考えるならばやはり妊娠中の接種がおすすめです。(血中の抗体量が2週間ごろから増え始め、1か月でピークになることを考えれば、産む2~4週間前までにはワクチン接種しておきたいですね♪)
さいごに
インフルエンザワクチンについて長々とお伝えしていきましたが、インフルエンザにも様々な型(株)があるようで、毎年当たりはずれがあるようですね。
ワクチンだけに頼りすぎず、自らの抵抗力・恒常性を高めていくためにも、適度な運動やバランスの良い食事、十分な休息を心掛けることも大切ですね!!
〈引用文献〉
・日本産婦人科学会ガイドライン2017